来年はジロウさんと剱岳に登ることになった。

話しによるとジロウさんは山小屋に早く着きすぎて
山小屋でやることない!
と言うくらいの強脚みたいだ。

毎回日が暮れる夕方5時くらいに
なんとか山小屋に到着する藤田とは大違い
ジロウさんは日ごろの鍛錬もおこたらない。
家でも

仕事中でも

登山中にも

これがあるからこその強脚

そんなジロウさんの足を引っ張らすに登るには
道具に頼るしかないと考え
荷物を軽くすることを思いついた。
いつもの50リッターのリュックから
30から40リッターのリュックにして
荷物を減らし少しストイックに入山を考え
重量は10キロを切ることを目標にして
リュックを買うことにした。
東海3県の登山ショップに詳しい幼なじみに相談したところ
すごい店があると言うので
高速を1時ほど走ったところにある登山ショップに行ってきた。
すごいと言うので
オレのイメージは
店の灯りはLEDの最新ではなく
ランタンで薄暗く
店員の指は5本なく
日焼けでボロボロの肌に
片目の店員が待って
いるようなイメージをしていたが
着いてみるとそこは
イメージとはまったく違う
オシャレな感じの店だった。
店内に入ると、外観と同じオシャレ空間が広がる。
店員の口元には
山にこもって生えた無精髭ではなく
キレイにお手入れされたオシャレ髭
肌のお手入れも完璧
指も5本あるし
オレの購買意欲がなくなった。
指がない店員に、わたしこの手袋着けていたら今でも指は5本ありました
って言われたらその手袋
迷うことなくオレそれ買うし
この熊鈴つけていたら、私の目は両目ありました
なんて言われたらオレは熊鈴を買ってしまう。
とにかくすごい店は、オレにとっては何もすごくなく
幼なじみが、あれこれ説明してくれているが、何も頭に入ってこず
店で売っているリュックは全てオシャレすぎてやめた。
その帰り道に、ジロウさんとの会話を思いだした。
ボクね気になるリュックがあると買っちゃう!
だからリュックありすぎて
どれ?背負って登ろうかわからなくなる!と
話していたのを思いだした。

リュックの事ならジロウ

ジロウさんに相談するしかない!
ここでジロウさんの説明をすると
ジロウさんは毎週末山に登るくらいのアルピニストで
服装にもこだわりがあり

ズボンは短パン派

いろいろ登山服ももっていて

短パン派だけど
冬は長ズボン

長ズボンでも飛ぶ

山に生きる山男ジロウさんは
ブーツにもこだわりがあり

ボクね!
ブーツ長いよ!
5年!
5年!
履いてる!
なかなか5年と言う長い歳月を
1つのブーツを履き続けると言うのは
なかなかできない!
ほんとオレもよくわかる
オレ今はいているブーツで
30年登ってきたから。
ジロウさんは忙しい人なので
けっきょくオレはジロウスポーツに相談に行くことなく
登山の日がきてしまった。

ジロウさん
今回の山登ったら
オレのこと
少しは認めてください。
ジロウさんと
肩ならべて
山の話しが
したいです。
ジロウさんは地上でも
お風呂に1週間入らない訓練をしているが
藤田は訓練を受けていないので
2泊3日で山に挑みます。
それにしても
ジロウさんのリュック
何が入っているんだろ?

まずは登る前、食料調達はコンビニ

今回は荷物を軽くするため食料は少な目
ストイックに山に入る予定
選ぶ食料も難しく
栄養があり
なおかつ軽い
まずは重量を考えないといけない。
なんとか10キロきりたい。
やはりここで思い出すのは
ジロウさんのリュック
何が入っているんだろう?

けっきょく10キロきる予定が
けずりにけずってがんばって11キロ。
荷物の多い幼なじみは13キロにしかならなかった。
オレは必要な物しか入ってないから仕方ないけど。
10月2日
11キロの荷物を背負い1日目は軽く登り
昼過ぎにはテント場到着

本番は明日からだ。
幼なじみが
いつも使っているテントは
3000メーターのテント場では
ただのパラシュート
朝起きたらお前ないから
そのテントやめろ!

と言っておいたので
今回のために買ったテントは
軽量テントらしい。

だがシングルだから
朝起きたら
びしょ濡れだろう
ちょっと日が沈むまで時間があったので
さすが自称
登山ショップで店員できるくらい
と言うだけあって
ここテント場のテントを全てメーカーから説明してくれた。

今回少しストイックにしすぎたか!?
味噌汁とおにぎり一つではお腹がすく。
幼なじみも食事を減らし
なに?食べているのか
食事をしていたので見ていた。

とにかく荷物が多い幼なじみ。
汚れる山の中で
おまえその敷物
必要なのか?

空腹のまま日は落ちて、あたりが暗くなるころ
おっさん二人組の登山者がテント場に到着。
暗がりの中おっさん二人はテントを張っている。
仕方ないけど、少しマナーがない。
一言言おうかと思って
幼なじみに相談したところ
20時までは我慢しろと言われたから
19時前にはテントに入り
20時までがまんして寝ることにした。
おっさん二人は食事にするみたいで話をしている。
この静寂なテント場では
かなり小さな音も響き渡って聞こえるくらいだから
テント場いったいに
おっさんたちの会話は響き渡っているだろう
おっさん二人の低い話し声はテント場全てに広がる。
とにかく20時まではがまん!
おっさん二人の食料は
チキンラーメンと餅みたいで
リーダー格のおっさんが
チキンラーメンと餅があるから
ボクは餅焼いてぜんざいで食べるから
チキンラーメンあるから!
それからおっさん二人は食べないのか
永遠と
ボクは餅焼いてぜんざい食べるからチキンラーメンあるから!
このセリフをエンドレスで繰り返す。
山行で疲れたら甘いもの食べたいのもわかる!
でも山で食べるチキンラーメンも美味しいじゃないか!
それか二人半分ずつではダメなのか?
何でオレがそんな心配しないといけないんだ?
もうおまえはぜんざい食って!
それともう1人のおっさんはチキンラーメンでいいじゃん!
と!言うより
もう一人のおっさん
返事くらいしてやれ
20時前だけどオレはがまんできず
静かにしてください!と言ってしまった。
リーダーらしきおっさんが一言
すみません。
それから少し小声にはなった。
会話の内容が変わった。
小声にはなったけど男の低い声はテント場全てに広がる。
朝6時に起きて7時に登ろうか?
また同じセリフの繰り返しが始まった
朝6時に起きて7時に登ろうか?が繰り返される
だから
もう一人のおっさん
返事くらいしろ!
6時起きの7時出発の何がダメなんだ?
オレは雨の日に
ここを10時くらいに出発して
午後2時には戻ってこれた。
しかも明日は晴れだ。
ここから西穂高岳までなら
6時起きの7時出発で
オレは良いスケジュールだと思う
なぜ?オレは知らんおっさん二人の登る山まで知っている?
6時に起きて7時に出発で決定にして
もう1人のおっさんも
わかりました!の一言がなぜ?言えない!
オレの我慢の限界がきた。
次は強めに言ってしまった。
静かにできんのか!
今からすぐここ出てけ!
またリーダーらしきおっさんが
すみません。
ここから先
静かになったが
しかし22時ごろ
オレは目が覚め
おっさんの二人の時報
今何時です?
10時くらいかな?
時間はわかった!
10月3日
翌朝みんなもうるさかったらしく
昨日怒鳴ってくれたのお兄さん達ですか?と
オレはテント場のヒーローになっていた。
幼なじみは一睡もできなかったみたいで
オレたちの出発時刻3時前には
準備してオレを待っていたみたいだった。
そんなオレは寝坊し4時起きの出発は5時前になってしまった。
ちなみにおっさん二人のテントはオレのテントの真横。
まだ暗い中ひたすら登る
この先の独標で日の出見るために登る人もいるが
オレにとっては日の出見ても意味がい!
どこで見ても同じただの太陽

独標到着

ここ独標から先は岩も落ちてこれば
人も落ちてくる
自分も落ちるかもしれないからヘルメット着用

とは言っても西穂高岳までは落ちてもしれてる

西穂独標から西穂まで
ピークが13


西穂到着
この日
藤田はカメラは持ってきたが
SDカードが入ってなく
幼なじみが撮った写真しかない
この時カードが入っていないことには気づいてない。

とりあえずの目的地、穂高山荘まで
この坂をいくつ越えるのか?



いくつ坂上がれば着く?


あといくつ坂上がればジャンダルムだ?




やっとジャンダルムが見えてきた

ジャンダルム上がります。


ここでこの天使見ると

天に登った気がする

ジャンダルムで70歳のおじいさんと出会う
オレたちの生まれる前からここ穂高連邦に登っているらしく
登山歴50年の大ベテランだ。
ここから先はこのレジェンドに同行させてもらうことにした。
オレたちはジャンダルムをあとにした。


お次はこの山の名物ウマノセ

左側の飛騨側は飛騨泣きと言うくらい
垂直に落ちるから危ないとされているが
反対側の長野県側落ちても
たぶん死ぬだろう
最近イブキくんが登山をやってみたいと言っているが
藤田とは行きたくないようで
ジロウさんとは行ってもいいそう。
イブキくんも見ているインスタの
この写真で
ジロウさんなら大丈夫と思うのか?
イブキくんも安心
オーバーハング

藤田のクライミング初級で渡れるか?
ジロウさんに認めてもらうためウマノセ突入

3000メーターのナイフエッジ!
ルートファインディングなし
どこ登ればいい?
無事クリア
50年生きてきて初めてわかった。
オレ高所恐怖症だった!
高いところが怖い!
穂高山荘手前の奥穂高
山頂には興味ないからスルー

山荘が見えてきた。

山荘でいっぷく

この先の北穂高岳まで1日では
年齢的に一緒にはムリだとレジェンド。
ここでレジェンドとは別れる。
オレも正直ここで満足だったが
涸沢岳に上がった。
やはり穂高山荘で一泊して下山すればよかった。

ガスってきた。

ここ穂高連邦
一度足を踏み入れたら
戻ることはできない。

途中からガスが霧になり
足場は濡れて滑り
緊張感が続く中
北穂到着

北穂山頂のわきに小屋

とりあえず小屋に入りいっぷく
そして朝起きてみると
10月4日
外は雨。
午後からの雨が早まったようで
この先の大キレットにすすむか悩み

雨の大キレットは俺たち初心者にはムリと判断して
予定の大キレットに進むのはやめにした。
おとなしく涸沢に下り
安全な計画に変更して
オレたちは下りようとしていた。
外にはカッパを着たレジェンドが立っていた。
レジェンドは昨日は穂高岳山荘に泊まり
朝5時出発で
ここ北穂高岳に朝7時半に着いたらしい
さすがレジェンド。

レジェンドにこの先の大キレットに雨の中、進むのは無謀かどうか?相談したら
慎重に行けば大丈夫ですよ!
レジェンドののその一言で
オレたちは大キレットに進むことに決めた
そうと決まればカッパを着る準備
なぜ?お前はエプロンにゴミ袋を足に巻く?

幼なじみはカッパがないと言う
オレより多い荷物で?
なぜ?カッパが入ってないの?

かれこれ40年以上の付き合いになるが
おまえがわからん

ジロウさん見習え
傘だぞ!

風もないし霧雨のような雨だから
慎重にすすめば
大丈夫かと思い先に進んだ

この先
写真はこの一枚

なぜなら先に進むにつれ
風が強くなり立っていられないほどで
雨は下から降り
写真を撮影できるような場所ではなくなっていた
と言うか
そんな精神状態ではなくなっていた。
この時オレは判断をミスった!

50年のベテランは大丈夫でも
我々とはキャリアが違うことに
この時気づいた!
そこはとんでもない場所で
足元、手元は滑り
強風で立っていられない
飛ばされればそのまま落下
生きて帰れるか
わからなくなった
でもカメラは動いていた
まずは飛騨泣き
A沢のコルでいっぷく
A沢でジロウさんの経験談を思い出した。
オレはまだ
そんな極限の山に登ったことがないから
経験したことないが
人間は限界がくると
まったく動けなくなるらしい
ジロウさんは、そんな極限状態になったことがあって
まったく動けなくなったことがあると聞かせてくれた。
その時どうしたか聞いたら
いっしょに登った仲間が
食料もっていたから分けてもらって
食べたら治ったらしい
人間たんぱく質がきれると本当に動けなくなるみたいだ。
さすがジロウさん山岳会の異端児!
オレは山に食料持っていかない人を初めて見た
この時オレは思った。
ジロウさんのリュック
何が入っているんだろう?

風も強く
とまっているより
動いていたほうが
良いことに気づき
大キレット第二弾
難所
長谷川ピーク
一歩間違えれば死が見える場所を
何時間もわたってくると
オレの精神的なダメージは限界にきていた。
もう終わってくれ!
何か見える

まだ大キレットが続くのか~と崩れ落ちそうな時
霧の中に赤い屋根
小屋が見える

生きて帰る
生きて帰る
と唱えながらの
オレたちの大キレットは終わった。
グローブとカッパはビリビリに破れ精も根もつきた。
小屋に入りぐったり

何も食べる気にはならなかったが
幼なじみが豚汁だけでも飲んでおけ
温まるからと言うので
口したくなかったが
豚汁をたのんだ

暖かい豚汁が体に入ると
オレは生きていると実感し
ヘルメットをはずし下山した

やっと普通に歩ける

でもまだ標高が高いのか
雷鳥がいる

もう高いところは懲り懲りだ

どんどん標高は落ち

やっと普通の道

いいかげんゴミ袋はずせ

下山して知ったが
10月4日最終日の大キレットは
風速20メーター以上
この日大キレットで72歳の方が行方不明
藤田たちと逆ルートで登山していたみたいだが
すれ違った人は動画に映っているかた一人でした。
オレ
山のぼ
してきました。
ジロウさん山登ってます。

家の階段すら
上がるの
とうぶんいいです。
- 2022/10/06(木) 03:53:29|
- 登山
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なんという読みごたえのあるブログなのでしょうか…!とりあえず無事に帰還出来てなによりです。
- 2022/10/10(月) 02:47:55 |
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- yamato #-
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